北海道の片田舎で

仕事の関係で北海道の片田舎に住む事になった内地の人です。こちらでの生活も10年を超え、中古住宅+リノベ工事により、我が家も手に入れました。

断熱材について考える

ここ北海道の片田舎では、既に雪が降るなど、本州に居た頃では信じられないような気温になりつつあります。そのため北海道の住宅においては、断熱という性能が非常に重要です。またこれに伴い結露などの問題もありますから、いかに家全体を暖めるのか?という暖房器具の選択も大事な訳でして、結局のところ、なるべく少ないエネルギーを使用して家全体を暖め、それをいかに維持するのか?という事が大きな課題となっている訳です。


また断熱については勿論ですが、換気という観点にも気をつけなくてはいけません。最近の高気密住宅は断熱に勿論優れていますが、気密もきちんとしているため、換気システムを導入する事が前提となっています。さらに、この換気の際に余計な熱を外に逃がさないため、熱交換器(温度の違う気流間で、熱エネルギーを交換し、外に熱をなるべく逃がさないようにするための装置)を入れる場合もあり、最近の住宅は、北海道の冬でも非常に快適な生活が送れるようになっています。


とはいえ、今回私が購入した中古住宅の場合、気密を確保するといっても限界がありますし、ここまでの高性能を必要としていないので(費用対効果的に)、現実的に対応可能な工事となりますと、付加断熱工事による外壁側の断熱材の追加、そして簡易的な第三種換気システムの導入(排気側のみ強制排気)といった形になるかと思います。


そこで今回は、一般的に『断熱工事』と呼ばれる工事を行う際に使用する断熱材について考えてみました。断熱工事を行う際に使用する断熱材の性能はよく、『熱伝導率』と呼ばれる値によって評価されます。この熱伝導率とは、単位『W/m・K (J/s・m・K)』を見れば一目瞭然なのですが、その断熱材を1 m配置して、その両側に温度が1 K(1 ℃)違う気体を置いた場合、この温度の異なる気体間で、面積1 m2辺り1秒間にどれだけの熱量が伝わるのか?という指標になっています。つまり断熱材の性能としては、この数値が小さければ小さい程、『薄い』断熱材を使用して目標とする断熱効果を得ることが出来る訳です。


熱伝導率の単位には、長さを示す(m)が入っていますので、断熱材の厚みが変われば、その効果は当然変わってきます。ですから普通に考えれば、断熱効果があまり良くない断熱材を使用しても、厚みを稼ぐことが出来れば、目的の断熱効果を得ることが出来る訳です。


そこで次に、材料の発展によってどの程度断熱材が進化してきたのかを知るために、昔から使用されていた断熱材と今の最新の断熱材の熱伝導率を調べてみました。


  断熱材の種類         熱伝導率 (W/m・K)
グラスウール10K (密度10 kg/m3)    0.050
      16K(密度 16 kg/m3)    0.045                
      24K(密度 24 kg/m3)    0.038
      32K(密度 32 kg/m3)    0.036
高性能グラスウール 16K       0.038
          24K       0.036
          32K       0.035
          40K       0.034
          48K       0.033
スタイロフォーム         0.036-0.022
A種硬質ウレタン           0.024
ネオマファーム            0.020


数字だけを見ますと、旭化成が誇るネオマファームを使用した場合、グラスウール10Kの半分以下の厚みで、同程度の断熱効果が期待出来るという事になりますから、やはり材料開発の進歩というのは素晴らしい…と同時に、グラスウールだって馬鹿に出来ないと思いました。高性能グラスウール16K、もしくは通常グラスウール24Kを使用しますと、熱伝導率は0.038 (W/m・K)です。グラスウールは100 mmで入れる事が多いようですから、これはネオマファーム 約53 mm分に相当する断熱効果が得られる訳ですが、ネオマファームの施工例を旭化成のweb siteで見てみますと、北海道の住宅でも壁にはネオマファーム50 (50 mm)を使用する事が多いようです。となりますと…グラスウールでも十分でない?となるわけでして…(実際には、断熱効果以外の特性も考えると、ネオマファームいいな~と思いますが(笑))、意外と昔の設計も馬鹿に出来ません。


今回、私の中古住宅のリノベーションでは、付加断熱という形で外壁交換と合わせて、外側に断熱材を追加する予定です。工務店さんの説明では、購入した中古住宅の建築された年代を考えると、内断熱として通常のグラスウール16K (0.045 W/m・K)が100 mm入っていると思われるため、多少の余裕を見て、ネオマファーム30 (30 mm)を入れましょうかね…という話でした。実際にネオマファームを入れるのかどうかは別として、たしかに内断熱としてグラスウールが100 mmきちんと入っているのであれば、この付加断熱工事で十分な断熱効果が得られるかな…と考えています。


実際のところは、少し壁を剥がしてみて、内断熱として入っているグラスウールの状態を確認してからの作業になるかと思いますが、熱伝導率を計算してみると、たしかにネオマファーム30でも十分な効果が期待出来そうだな…と考えました。


ちなみに…コンクリートと木の熱伝導率を調べて見ると非常に面白い数字が出てきます。


種類             熱伝導率(W/m・K)
スギ(木)            0.073
ヒノキ(木)           0.095
ブナ(木)            0.140
コンクリート            1


木の種類に多少は依存しますが、木造…結構頑張っていますね。それだけ、細孔内の空気の影響があるのかな…と(空気の熱伝導率は0.024ですから)。といいますか、鉄筋コンクリートの場合は、断熱材を入れる事が前提で、コンクリートそのものには、ほとんど断熱効果は無いようです。ですから強度を鉄筋コンクリートで保ち、断熱材で断熱効果を狙う…という形になるのですね…。


断熱材とその性能を調べていて、色々と私も考えるところが出てきましたから、次の工務店さんとの相談の際には、これらの件について色々と聞く事になりそうです(多分、私は面倒な客なのかもしれません)。




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