北海道の片田舎で

仕事の関係で北海道の片田舎に住む事になった内地の人です。こちらでの生活も10年を超え、中古住宅+リノベ工事により、我が家も手に入れました。

フィギュアスケートの思い出(ちょっと長め)

現在北海道の片田舎に住んでいる私は、元々名古屋の出身。そしてフィギュアスケートの聖地である『大須スケートリンク』の近くに実家がある事から、子供時代は時々、友人達と大須スケートリンクで遊んでいました。現在のシステムはよく知りませんが、私達が子供の頃の大須スケートリンクでは、夜になりますと、中央付近でフィギュアスケートの選手が練習をして、その周りを私達一般人が同じリンクで滑る…という状態でした。


大須スケートリンクから世界に出て行った選手と言えば、最近では浅田真央ですが、その他にも村上佳菜子、中野友加里、安藤美姫、恩田美栄と名立たる名前が並びます。しかし私の世代からすると、やはり伊藤みどりです。当時の伊藤みどりは、私達悪ガキがスケートリンクの縁を滑っている中、中央部分でフィギュアの練習をしていました。そしてジャンプの練習時にすっぽ抜けると、私達が滑っている縁まで吹っ飛んできますので、私達まで巻き込まれて一緒に転がる事も時々ありまして…。


私達悪ガキからしますと、『またあの大根足の姉ちゃん、突っ込んできた~。勘弁してくれよ~』などと悪態をつきつつ、『次も頑張ってね~』と応援していた訳です。また山田満知子コーチの声を聞きながら、『ま~た怒られてる』などと見ていました。それもあり、伊藤みどりの演技は、ほとんど見ていたような気がしますし、彼女の演技があまりにも鮮明に印象に残っているため、浅田真央の演技も素晴らしいのですが、どうしても迫力に欠ける…と思っていました。


伊藤みどりの演技と言えば、有名な所では、女子選手として初めて国際大会でトリプルアクセル(3A)を決めた89年のパリでの世界選手権のフリー、そして銀盤の女王のプライドを賭けて根性で二度目の3Aを決めた92年のアルベールビルオリンピックがあります。しかし、当時応援していた悪ガキの一員として一番記憶に残っている演技は、88年のカルガリーオリンピックでした。


当時のフィギュアスケートは、今のフィギュアとは異なり芸術性が全盛期ですし、悪名高いコンパルソリー(規定)が残っていました(伊藤みどりは規定だけは超苦手でして…ここでのビハインドをショートとフリーで取り返すタイプの選手でした)。当時の銀盤の女王は、東ドイツのカタリナ・ヴィット。私は伊藤みどりのファンですが、それでもどっちが綺麗な選手?と聞かれれば、ヴィットと答えるしかない程、美人な選手です。


カルガリーオリンピックの頃のルールでは、伊藤みどりは絶対にヴィットには勝てないのですが、それでもフリーの技術点で5.9を叩き出し(最終組ではないにも関わらず)、最終組のヴィットの技術点を5.6~5.7に抑えました。カルガリーの観客も伊藤みどりには惜しみない拍手を送っていましたし、おそらく伊藤みどりも試合中にガッツポーズを繰り出すなど、会心の演技だったと思います(当時のフィギュアの常識からして、試合中のガッツポーズはありえませんし、今外国の中継を見てみますと、解説者が笑っている声を聞く事が出来ます。)



Midori Ito 1988 Calgary Olympics LP
1988年カルガリーオリンピックのLP (解説者が伊藤みどりの試合中のガッツポーズに思わず笑ってしまいます。…というか、ちゃんと解説しろよ(笑))


しかし私が印象に残っているのは、実は試合後のエキシビジョン(Ex)でした。この件については、様々な記事で紹介されていますので今更ですが、伊藤みどりは本来Exに出られなかった筈が、地元観客のリクエストで急遽出ることになった訳です(残念ながら規定でのビハインドを完全に取り戻せず5位入賞でしたから)。しかし結果的に、この急遽出ることになった…という理由から、金メダリストであったヴィットの後に滑走する(つまり、カルガリーオリンピックのフィギュアの大取を勤める)事になったのです。



ニコニコ動画ですが、丁度ヴィットと伊藤みどりのExの映像がありましたので紹介します。芸術のカタリナ・ヴィット VS 技術の伊藤みどり…なのですが、このExに限って言えば、技術のヴィット(ステップが素晴らしい) VS 芸術のみどり(勿論ジャンプは有得ない程の高難度ですが)になっています。


その時の演技、子供の頃に朝中継で見ていた記憶がありますが、今でも凄く印象に残っています。女王ヴィットが行ったEx(アンコール)は、たしかマイケルジャクソンの曲に合わせてのダンス(一度もジャンプを跳ばなかったのですが、このダンスは素晴らしい演技で、まさに一時代を築いた銀盤の女王に相応しい演技でした)。これに対して伊藤みどりは、今の時代にショートで行っても遜色がないレベルの正統派の演技をExで魅せてくれたのです。


伊藤みどりの素晴らしさは勿論ジャンプですが、スピンも素晴らしいですし、たしかに苦手でしたが、規定が残っていた時代の選手のため、滑り方も凄く綺麗です。しかし私が考えるこの人の凄さは、アクセルとルッツ以外のトリプルは助走がほとんど無くても跳べてしまう事。そのためスローパートであっても、イーグルから直にトリプルを跳びますし、イナバウワーから二連続のトリプルトーループ(3T-3T)も跳べてしまいます。


そしてこのExでも、イナバウワーからの3T-3Tを軽く決めてしまいました。今でもそうですが、試合でもないExでこれだけの難易度のコンビネーションを見せてくれる選手はそれ程多くありません。勿論、これが決まった時のカルガリーの観客の声援は凄かったですし、おそらく多くの人がこれを見て、『これから伊藤みどりの時代が始まる』と感じたと思います。


実際、カルガリーからアルベールビルまでの4年間は、まさに伊藤みどりの時代になりますし、芸術性を重視していたフィギュアも、現在の技術とパワーが重視される形に少しずつ近づいていきました。そういう意味では、伊藤みどりはフィギュアスケートを変えたレジェンドである…のですが、私達当時の悪ガキからしますと、『いつも俺達が遊んでいる所に突っ込んでくる、大根足の姉ちゃん』なんですよね(笑)。


来年早々に冬季オリンピックがありますし、冬季オリンピックの華であるフィギュアスケート…今シーズンはどうなりますかね。現在の日本の女子フィギュアは群雄割拠の時代。浅田真央の抜けた穴を誰が埋める事になるのか、楽しみにしています。





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